院長からメッセージ
「喉に鼻汁が流れ落ちる感じ」が続いていませんか?痰がいつも絡む、咳払いが増えた、喉に何か張り付いている、このような症状は、「後鼻漏(こうびろう)」と呼ばれます。後鼻漏は単なる鼻水の問題ではなく、さまざまな原因が関与します。特に、症状が長引く場合には、「上咽頭炎」が関係しているケースも少なくありません。戸田耳鼻咽喉科では、内視鏡・CT・血液検査などを組み合わせ、後鼻漏の原因を総合的に評価して、治療へとつなげます。
後鼻漏とはなにか?
後鼻漏とは、鼻水が喉へ流れるものを指します。実は、健康な方でも、1.5ℓ程度の鼻汁が1日中喉へ流れています。通常は無意識に飲み込んでいるため、ほとんど気になりません。また、鼻汁は加湿や感染防御など、身体に重要な役割を果たしています。しかし、アレルギー性鼻炎や鼻副鼻腔炎では鼻水の量が増える、粘り気が強くなることにより「喉に流れる感じ」が自覚症状として強く現れます。また、実際には鼻水が多くないにもかかわらず、喉に何かある、痰が張り付く、常に気になると感じる状態を、「後鼻漏感」と呼びます。このタイプでは上咽頭炎、乾燥、咽喉頭逆流症、自律神経の乱れなどが関与しているケースがあります。
後鼻漏の原因
鼻副鼻腔炎(蓄膿症)
鼻副鼻腔に炎症が起こると、粘り気の強い鼻汁が喉へ流れ込みます。黄色い鼻水、痰、咳、口臭などを伴うこともあります。慢性化すると、症状が長期間続きます。
アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎
水のような鼻水が増えることで、後鼻漏の原因になります。花粉症、ダニアレルギー、大気汚染、寒暖差などが関係します。
慢性上咽頭炎
鼻の奥にある「上咽頭」の炎症です。咳、痰、喉の違和感、咳払いなどの原因になることもあります。通常の診察では見逃されることもあり、内視鏡による観察が重要です。長引く後鼻漏の背景に、慢性上咽頭炎が隠れているケースは少なくありません。
乾燥
乾燥により鼻汁の性状は変化します。鼻汁が粘りやすくなり、喉へ張り付く感じが強くなることがあります。特に冬場やエアコン環境下で、悪化しやすくなります。またシェーグレン症候群などの膠原病や糖尿病が原因で乾燥が生じる場合があります。
咽喉頭逆流症(LPR)
咽喉頭逆流症は、就寝中に胃酸や胃の内容物がのどまで逆流し、のどの違和感、咳払い、声がれ、痰が絡む感じなどを引き起こす病気です。胸やけがなくても起こることがあります。
心の状態
後鼻漏の症状は鼻や喉の病気だけではなく、不安症、うつ病、自律神経の乱れによる感覚過敏が関係することがあります。諸検査で異常が少ない場合に疑われ、後鼻漏は心身両面からの評価が大切です。
後鼻漏の検査
内視鏡検査
細い内視鏡を鼻から挿入し、鼻副鼻腔や上咽頭の状態、後鼻漏を直接確認します。
CT検査
後鼻漏が長引く方では、CT検査が重要になることがあります。当院では耳鼻科疾患に特化したCBCT(コーンビームCT、低線量)を導入し、鼻副鼻腔を詳細に精査します。
血液検査
ダニ・花粉・カビ・動物など、後鼻漏の原因となるアレルギーを網羅的に評価します。特にView39という血液検査では約40種類(食物含む)のアレルゲンを一度に確認できます。乾燥に関係する膠原病や糖尿病の検査も行います。
咽喉頭逆流症チェックシート
逆流症チェックシートは、のどの違和感、咳払い、声がれ、胸やけなどの症状を点数化し、胃酸の逆流が症状に関与している可能性を調べる問診票です。診断や治療の参考にします。
HADS問診票による心理評価
不安やストレスにより後鼻漏感が増悪することがあります。必要に応じて、問診票を用いて、症状との関連を確認します。
後鼻漏の治療
鼻うがい、乾燥対策、アレルゲン対策
鼻うがいは、後鼻漏の改善に有効なことがあります。また、原因に応じた対策も重要です。
薬物療法
原因に応じて、抗菌薬、抗アレルギー薬、去痰薬、ステロイド点鼻薬、漢方薬などを組み合わせます。
慢性上咽頭炎に対する専門治療
後鼻漏が長引く方の中には、慢性上咽頭炎が関与しているケースがあります。当院では、Bスポット療法(EAT、上咽頭擦過療法)に積極的に取り組んでおります。さらに、内視鏡を用いたE-EATにも対応しております。炎症部位を直接確認しながら、ワイパー法、ピンポイント擦過を組み合わせ、必要な病的部位へ的確にアプローチします。
よくある質問(FAQ)
- 後鼻漏は自然に治りますか?
- 風邪による一時的な後鼻漏は自然改善することがあります。一方で、数ヶ月以上続く場合には、鼻副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎、慢性上咽頭炎などの評価が重要です。
- 後鼻漏で咳は出ますか?
- はい。後鼻漏は慢性的な咳の原因になることがあります。特に、夜間、横になる時に悪化する方が多くみられます。
- 痰と後鼻漏は違いますか?
- 痰(たん)とは、肺、気管、咽頭の分泌液に、細菌などが混ざったものです。粘り気を作っているのはムチンという糖タンパクです。 一方、後鼻漏は鼻副鼻腔から分泌された鼻水が、のどの方へ流れ落ちた分泌液のことです。
- 鼻副鼻腔炎がなくても後鼻漏になりますか?
- あります。アレルギー性鼻炎、上咽頭炎、乾燥、咽喉頭逆流症、自律神経の乱れなどが関与していることがあります。
- Bスポット療法(EAT、上咽頭擦過療法)は後鼻漏に有効ですか?
- 慢性上咽頭炎が関与している場合、改善が期待できることがあります。内視鏡所見をもとに適応を判断しております。
