院長からのメッセージ
私たちは日常生活で、座ったり、立ったり、横になったり、歩いたり、走ったりと様々な動作をしています。そのバランスは内耳の中の「三半規管・耳石器」、眼の中の「視覚器」、四肢の中の「深部知覚器」の3つのセンサーで感知されています。脳がこれらの情報を分析して、手足の筋肉に指示することでスムーズな運動を行うことができるのです。3つのセンサーや脳のトラブル、筋力不足などが起こるとスムーズな運動が出来なくなり、めまいやふらつきが起ります。めまい診療の専門知識と診療技術を持つめまい相談医として日本めまい平衡医学会の認定を受けています。 丁寧な検査と的確な治療により、元の生活に戻るお手伝いをさせていただきます。
めまい症状のいろいろ
回転性めまい
「周囲の物や自分の体がグルグル回る感じ」など回転感を伴うめまいです。メニエール病、良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、小脳の血管障害などの場合にみられます。
浮動性・動揺性めまい
「ふわふわして雲の上を歩く感じ」、「ふらふらして歩きにくい」などのめまいです。血圧の異常、自律神経失調、ストレスなどでみられます。内耳のめまいの後遺症としてもみられます。
立ちくらみ・失神感
「立ち上がった時に目の前が暗くなる」、「気が遠くなる」などと感じるめまいです。起立性低血圧症、貧血、脳血流の低下、不整脈などでみられます。
主なめまいの病気
耳から起こるめまい
良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎、前庭性片頭痛、持続性知覚性姿勢誘発めまい、突発性難聴など
脳から起こるめまい
脳梗塞、脳出血、椎骨脳底動脈の循環障害など
全身の異常などで起こるめまい
自律神経調節障害、更年期障害、起立性低血圧、心因性めまい、加齢による身体機能の衰弱
めまいの診断
聴力検査
メニエール病や突発性難聴では難聴を伴う特徴があります。
体平衡検査
身体がどのように傾くか、バランスの機能をみて、めまいの原因を調べる標準検査です。
赤外線CCDカメラ眼振検査
眼振とは一定のリズムで繰り返す眼球の異常運動のことです。三半規管や脳のトラブルでみられます。眼振の状態(頻度、方向、持続時間、速度など)を測定することで、めまいの原因を調べる検査です。赤外線CCDカメラを用いた眼振検査では、精細な眼振情報を得ることが出来ます。当院では眼振をビデオで記録して、眼振の様子をお見せしています。
MRI
めまいがおきると大きな病気ではないかと心配になります。MRIは脳の病気や、耳の神経を詳しく調べることができます。脳神経外科専門医と連携しながら迅速に検査と治療を行っています。
めまいの治療
対処療法
めまいや吐き気などは不快な自覚症状ですので、とりあえず症状を取り除く治療を行います。めまいへの不安感を和らげるための抗不安薬を使用することがあります。
基本治療
めまいは平衡神経の異常によって引き起こされるので、神経機能を活性化することが必要です。十分な血液を神経に供給して機能を向上させるために脳循環改善薬を使います。ビタミンB12には傷ついた末梢神経を修復する効果があります。
原因治療
めまいを起こす原因に対して治療します。メニエール病には浸透圧利尿薬が使われます。
リハビリテーション療法
めまいの原因で最も多い、良性発作性頭位めまい症は、三半規管の輪の中に「耳石」という小さな石が紛れ込むためにおこります。耳石が本来の場所である卵形嚢という場所に戻ると、めまいが治ります。当院では耳石を戻すためのリハビリテーションに取り組んでいます。Dixxy FIX(ディジフィックス)という器具を使って、実際の耳石の移動をイメージしながら行う、ユニークなトレーニングです。めまいを早く、安全に治したい方には是非お勧めしたいです。
