PPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)はこんな病気
近年、慢性めまいの約4割は持続性知覚性姿勢誘発めまい(以下PPPD)であることが分かってきました。PPPDは2017年に国際学会で新たに提唱された概念です。内耳疾患(メニエール病など)や精神疾患(うつ病など)とは独立した機能性疾患(臓器には何も異常は無いにもかかわらず自覚症状だけがある病態)と定義されます。
PPPDは耳の病気や心のストレスから平衡バランスを乱すことから始まります。バランスの乱れを補うために眼感覚や身体感覚が鋭敏に反応するようになります。この結果、今まで気にならなかった刺激(スーパーの陳列棚やスマホのスクロール画面を見るといった眼刺激、歩く、電車に乗るなどの身体刺激)でめまいが生じます。
3か月以上ほぼ毎日続く、ふわふわするめまいが特徴です。朝方に調子がよく、夕方にかけてふらつきが増悪する傾向があります。50代を中心に20代から80代まで幅広い年齢層で発症します。
持続性知覚性姿勢誘発めまいの診断
PPPD専用の問診票(The Niigata PPPD Questionnaire, NPQ)を活用し、点数が高い場合はPPPDの可能性が高まります。下記の問診票を用いて採点してください。確定診断は診断基準に基づいて行う必要があります。他の病気との鑑別のため聴力検査、平衡機能検査、MRIなども行われます。検査の詳細はめまいをご覧ください。
PPPD問診票
12個の質問にそれぞれ点数をつけてください。合計27点以上でPPPDが疑われます。
(0:全く大丈夫 2:時々影響する 4:影響する 6:常に影響する)
頭部傾斜自覚的視性垂直位検査(HT-SVV)
上下方向の軸(重力軸)の認識が斜めになっているとめまい・ふらつきが生じます。自覚する上下方向の軸と実際の重力軸との差を測定します。PPPDでは差が大きくなる傾向があります。
持続性知覚性姿勢誘発めまいの治療
一般的な抗めまい薬は無効なことが多く、セロトニン(幸福感を促すホルモン)を増強するSSRIやSNRIという抗うつ薬が症状を改善させることが分かってきました。前庭リハビリテーションや認知行動療法がPPPDに有効であるとの報告があります。