院長からのメッセージ
戸田耳鼻咽喉科院長の藤峰です。みなさんは高い山に登った時やエレベーターに乗った時に「耳がつまった」、「耳に水が入ったような」、「何かに耳を覆われた」などの違和感を感じた経験はありませんか。この聴覚異常感を僕たち耳鼻科医は耳閉感と呼んでいます。耳閉感は何より不快な症状ですし、様々な病気のサインにもなります。ではどのような病気があるのでしょうか、耳鼻科で行われる検査や治療についても簡単にまとめました。
音が聴こえる仕組みから見てみます。音は空気の振動として外耳道・中耳を経由してカタツムリの形をした内耳に到達します。内耳では空気の振動を電気信号に変換します。電気信号が聴神経を伝って脳に到達すると、音として認識されます。この長い経路のどこでトラブルが起きても耳づまりを感じます。
診療ではまず外耳道が耳垢で塞がれていないかを確かめます。これは耳を覗けばすぐにわかります。ここに問題がなければ、中耳・内耳・聴神経の検査に移ります。難聴の自覚がない方、健康診断で異常がない方でも、耳鼻科で行われる詳しい聴力検査では、特定の周波数だけが悪い例や、軽度難聴が発見されることがあります。特に低音域の周波数は耳閉感と深く関連しており、急性低音障害型感音難聴では耳閉感が特徴的です。低音域の聴力は変動することがあるので1回の検査で良くても、本当に大丈夫なのか日を改めて検査することがあります。
実は耳周辺のトラブルでも耳閉感は起こります。周辺を大きく2つのエリアに分けてみました。まずは耳管エリアから解説します。耳管という中耳と鼻をつなぐ管は、中耳腔の空気の出し入れに関与しています。この耳管が細くなったり、太くなったりして中耳腔の気圧に変化が起きると、鼓膜がこれを敏感に感じ取って耳に違和感が生じます。耳・鼻・上咽頭のトラブルが波及して耳管が狭くなれば耳管狭窄症となりますし、逆にダイエットや妊娠・出産を契機に耳管が広がってしまうと耳管開放症という病気になります。これらは耳管機能検査で診断します。聞き慣れない検査なので詳しくは後述します。治療は薬物療法、生理食塩水点鼻、Bスポット療法などが行われます。
次は側頭骨・顎関節エリアを解説します。側頭骨は空気を沢山含んで耳全体を包み込んでいるスポンジのような骨です。中耳炎を契機にこの骨の乳突蜂巣という部分に炎症が及ぶと耳閉感が生じます。また顎を動かす顎関節は耳に隣接しており、顎関節症では三叉神経を介して耳閉感が起こります。このエリアでは他にも上半規管裂隙症候群、前庭水管拡大症という病気が生じることがあります。検査はCTで行われます。
耳や周辺エリア以外の原因として、うつや不安も耳閉感の増悪因子です。「このまま耳が聞こえなくなってしまうのではないか」と不安になって耳を意識するあまり、余計に耳閉感を強く感じて不安が増す・・・、悪いスパイラルに入り込んでいる患者さんがおられます。検査を受けてもらって「大きな病気はない」ことが確認できれば、不安が払拭されて症状も緩和されるのではないでしょうか。
耳閉感の原因は多岐に渡るため、時間と手間をかけて丁寧に診断に導くことが大切です。診断に必要な耳管機能検査やCTは当院で実施することができます。戸田市は埼玉県南に位置し、さいたま市、川口市、朝霞市、東京都に隣接しています。クリニックは埼京線北戸田駅から徒歩数分にあり、駐車場も完備しております。お困りの方はお気軽に受診してください。次に原因となる病名一覧、耳管狭窄症、耳管開放症、耳管機能検査について解説しておりますのでご参照ください。
耳づまりの原因
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- 突発性難聴
- メニエール病
- 急性低音障害型感音難聴
- 外リンパ瘻
- 上半規管裂隙症候群
- 前庭水管拡大症
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- 脳腫瘍
その他
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- 耳管開放症
- 慢性上咽頭炎
- 中耳圧変化による感覚過敏
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耳づまりの検査
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